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シャープペンの歴史が気になって調べてみたら… 〜虜になる発明家が続出!?編〜


みなさん、こんにちは。
シャー研部員の藤村です。

突然ですが、
わたし、歴史が好きなんです。

歴史小説を読みあさっているとか、歴史上の武将に恋しちゃうとか、
そんなレベルの方々には足元にも及ばないのですが、とにかく好きです。

なぜ好きかと言うと、
何事にもそれが生まれるまでの“ストーリー”があるからです。

誰かの熱い想いが込められていたり、成功と失敗のエピソードがあったり、偶然の出来事がもたらすドラマチックな展開があったり…。人と人との交わりの中から、紡がれていくストーリーの数々。

自分の身の回りにある一見するとなんの変哲もないものでも、
歴史を紐解いてみると、無性に愛おしく思えてきてしまうんです。

だから今回は、シャープペンの歴史を振り返ってみたいと思います。
シャープペンの起源から現在の姿になるまでのお話を通して、
みなさんにもっとシャープペンのことを知ってもらいたい。あわよくば、愛でてもらいたい。そんな気持ちで文章をしたためていきます。


そもそもシャープペンは、どこで生まれたのか?


みなさん、シャープペンってどこで誕生したのか知っていますか?

調べてみるとシャープペンが登場したのは、1822年のイギリス。
ジョン・アイザック・ホーキンスとサンプソン・モーダンという
ふたりの発明家によって「繰出(くりだし)式」のシャープペンが発明されました。

繰出式っていったいなんだ!?と思いますよね。
その名の通り、ペンのお尻(後端)部分をくるくると回すと、
芯がペン先から出てくる構造のことをいうそうです。

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▲モーダンのシャープペンシル  画像引用:wikipedia『シャープペンシル


実際には、1822年の発明より以前にイギリス海軍の船からシャープペンらしきものが発見されているようなのですが、正式に特許を出願したのはホーキンスとモーダンと記録されています。

その後、シャープペンは海を渡りアメリカニューヨークへ。
1837年、発明家キーランによって「エバーシャープ」という名前で発売されます。

エバーシャープ=Ever Sharp

直訳すると「ずっと尖り続ける」です。
永遠に尖っている筆記具なんて、もう名前だけで、最高にクールです。


そんなクールな姿に魅了されたのか、
「エバーシャープ」はドイツのクルップ社の目にとまり、実用化に向け、機械による大量生産が開始されます。

こうして海外の偉大な発明家たちによって生み出されたシャープペンは、
その後世界各地へ。いよいよ、ここ日本へも上陸することになります。


日本のシャープペンづくりの起源は、手先の器用な職人だった!?


明治初期の1877年―。
日本にはイギリスやアメリカなど「列強」と呼ばれる国々から、
次々と洋服やガス灯、洋風建築など新しいものが輸入されました。
その中のひとつに、シャープペンもあったのです。

上陸当初は「繰出鉛筆」という名称で呼ばれていたそうで、
当時の日本人にとってはキテレツな代物に、先見の明のある人々が目をつけました。

それが、「飾り職人」と呼ばれる人たちです。
「飾り職人」とは、足袋の履き口についている薄い金具の部品(こはぜ)や、洋傘の骨部品などを作っていた職人さんのこと。とにもかくにも、手先がめちゃくちゃ器用な人たちです。

当時イギリスで開発されていたシャープペンは、華やかで美しい装飾に凝っていたようで、純銀や金で作られた軸に、後端には宝石や貴石が埋め込まれていたそうです。きっと、そんな煌びやかな装飾が職人さんたちの目をひいたんですね。
「これはオレたちが作るべきものだ!」って思ったのかもしれません。

でも、どうやらそれだけではないようです。シャープペンの歴史が詰まった文献「シャープペンシルのあゆみ」を開いてみると、こんな記述があったのです。

" 飾り職は季節的な商品が多く、いわゆるニッパチの2月、8月ころは暇で一年を通して需要のある商品をつくろうということで、技術を生かしてシャープペンシルの製造を手がけるようになった。"
出典:『シャープペンシルのあゆみ』日本シャープペンシル工業会 第3章座談会P85

飾り職人たちは生きていくため、
年間で需要がある、新しい“何か”を探していたんですね。

やがて飾り職人たちの手によって、シャープペンは作られるようになります。
シャープペンに魅せられた職人たちの数も次第に増え始め、
飾り職人がもともと多くいた東京・向島周辺にはシャープペンの製造所が数多く登場しました。


シャープペンづくりに情熱を注いだ、あの有名企業の創業者


多くの職人さんがシャープペンづくりに勤しむ中、
シャープペンの機構(内部の構造)部品を作るひとりの男性がいました。

早川徳次という人物です。


この名前を聞いて、ピーン!ときた人もいるかも知れません。
そう、この早川徳次さん、あのシャープ株式会社の創業者です。

彼は、兄が持ち込んだ繰出鉛筆の部品を作る仕事を担当していましたが、手先が大変器用だったため、部品だけに止まらず、なんとシャープペンそのものを作り始めたのです。

そうして、独自に開発した商品を発表しました。
それが、1915年に誕生した「早川式繰出鉛筆」です。


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▲早川式繰出鉛筆 レプリカ     画像引用:岩崎金属工業株式会社、日本筆記具工業会「シャープペンシルの名称と由来」

どうですか?シンプルかつ、スタイリッシュなフォルム
そして流れるような曲線美…

最高にかっこいいじゃないですか!

早川さんはこれを皮切りに、
その後、改良を重ね名称を「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」と改めました。この名称は後の社名「シャープ」の由来にもなっているそうです。

なんとも不思議なシャープペンとのご縁ですよね。
こういう時代の背景にあるストーリーを知ると、意外なところで意外なつながりがあったりして、ワクワクしてきませんか?

とまあ、わたしは一人興奮していますが、
みなさん同じ気持ちだと嬉しいです(笑)


まだまだ未熟、一人前になれないシャープペン


さて、その後シャープペン開発の熱は一気に加速します。

さらに、1914年以降は第一次世界大戦の最中、ヨーロッパでシャープペンが品薄状態になったことから、徐々に日本へ生産を頼るようになっていったというのもシャープペン開発の追い風になりました。

しかし、数々の職人たちがシャープペン開発に熱を注いではいたものの、
社会では、シャープペンはまだまだ一人前の商品としては評価されていませんでした。

その最大の原因は「シャープペンの芯」です。
生産技術もまだまだ発展途上だったため、当時のシャープペン替芯の太さは1.15mmが細くできる限界。おまけに黒鉛と粘土が主原料だったため、書いているとすぐに折れてしまうのです。これでは、とても実用的とは言えませんよね。

現代では、0.5mmの芯が一般的に使われていることを考えると、
1.15mmの太さの芯は、かなり太いですよね。
どんな書き味だったのか、とっても気になります…!


これは、なんとかしなければ!ということで、
この後からシャープペンそのものだけでなく、シャープペンの芯にも注目が集まり始めます。

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シャープペンが誕生した1822年から日本に渡って、ざっと100年。
いかがですか?開発の影には、たくさんの人の努力があったんですね。


ちょっと、ちょっと、ぺんてる出てこないじゃないか、ですって?
そうなんです。わたしたちぺんてるを含め、企業がシャープペンの生産に乗り出したのは、実はもう少し先の話。

職人たちが確立してくれた日本のシャープペンづくりの技術や知恵を、今度は世に広めるべく、数々の企業が立ち上がります。

では、どんな風に企業がシャープペン生産に乗り出してきたのか…


この続きは、こちらの記事でお楽しみください!
それでは、また!


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出典:『シャープペンシルのあゆみ』日本シャープペンシル工業会

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ぺんてる シャープペン研究部です。ぺんてるがノック式シャープペンと合成樹脂を配合したシャープペン替芯(ポリマー芯)を世に送り出してから2020年で60周年。それを記念してnote公式アカウントを開設しました。一緒にシャープペンライフを、書き合い、語り合う場をつくりましょう。

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